龍刻陶とは About “Ryukokutou”
墨絵を描くためのキャンバスを「和紙」から「陶板」へ移して制作を続ける西元。
試行錯誤を繰り返し、「陶墨画(とうぼくが)」というジャンルを確立させた。
そして2022年。西元は、「立体成形」に挑む。
混迷を極める世界において、傷つきながらもなお強く生きようとする生命の輝き。
大切なもののために己の傷をものともせず、前へ前へと進む命の躍動を、誰かに伝えたいと祈りながら
陶立体作品に刻む。
その祈りを「龍」になぞらえ、生まれた作品を「龍刻陶(りゅうこくとう)」と銘打った。
全工程に祈りを込めて
モチーフは森羅万象、この地球に生を受けた存在を、選び抜いた粘土で創作し、湧水でそれを捏ね、成形し、乾かし、素焼き、彩色し、本焼きまで。
土と水と鉱物だけで作った陶の芸術を、1200度の焔で焼き締める。
手間のかかる作品を、一つ一つ丁寧に、西元自身が生み出していく。
それら全てに、龍の想いを刻み、生命の息吹を封じ込める。手にとってご覧いただきたい。
その魂の醸成を感じていただきたい。一粒が万倍になるほどの勢いを味わっていただきたい。
立体から見えるもの
西元の作品全てに宿る魂の発露は「龍」である。
如何なる作品を描いていても筆の先からほとばしる墨の雫に凄烈な龍魂が在る。
それは即ち走る人が切る風であり 虎の咆哮であり 疾走する馬のたてがみであり 光の神々を纏う衣であり しなやかな女性の黒髪であり 轟音を立てて落ちる瀑布である。
全てに龍が刻まれる広角から探してみてほしい
静かなるその化身を手に包んで感じてみてほしい
美しき陶光と焼いた土の温もりを。